雑誌『キング』p.121下段 幻兵団の全貌 多数の死亡者を握りつぶす

雑誌『キング』昭和25年5月号 p.121 下段
雑誌『キング』昭和25年5月号 p.121 下段

は、連絡の手段を授けて、Ⓑと同様に組織、活用するということもあり得るのである。

二、選考

では、この目的によって二種に大別されるスパイ団の組織は、その構成にあたって、どのような選考が行われただろうか。時期、地区、基準、方法についてみてみよう。

1 時期 ソ連は終戦後にその進駐地域において、莫大な数にのぼる日本軍人を捕虜とし、軍事輸送と並行して、これらの捕虜を続々と本国に輸送した。一般に〝数〟の観念の発達していない彼らは、計算の便を計るために、地方人までを捉えて端数を充当し、千五百名を一列車の単位とした。こうして、受入態勢も何も整っていない本国内に、無計画にただ送りこんで抑留してしまったのである。そのため最初の冬は、混乱と無秩序のうちに莫大な死亡者をだしてしまい、俘虜数を正式に調査する運びになったのは、昭和二十一年四月になってからだった。その原因は、中央部では調査のための努力をしなかったし、下部の各収容所では、多数の死亡者を出した責任をおそれて、その報告を握りつぶして