雑誌『キング』p.130下段 幻兵団の全貌 看護婦がスパイ連絡担当

雑誌『キング』昭和25年5月号 p.130 下段
雑誌『キング』昭和25年5月号 p.130 下段

れた情報の範囲は、

①米軍の装備、施設、能力
②対日管理の実情
③政党の動き、特に共産党の動向
④経済事情、米国への国民感情

など、極めて広範囲にわたっている。

また、ナホトカ——舞鶴間の直接連絡については、引揚船乗組の看護婦が、連絡を担当していたことも相次いで判明した。この事件はナホトカから乗船したスパイ団員が、かねて指示された通り、船中にて連絡すべき〇〇ミヨ子看護婦(特に名を秘す)を、間違えて〇〇ミエ子看護婦(特に名を秘す)と思いこんで、ミエ子に連絡をしてしまった。ビックリしたミエ子は、直ちにその旨を当局に報告したので、当局が調査した結果、ミヨ子の間違いだったと分かり、ミヨ子を取押えようとしたが、すでに下船、逃亡した後であった。ミヨ子の実家所在地も架空で、ミヨ子の消息はその後不明となってしまった。

このようにして、このスパイ団の、日本における組織は、次第に明らかとなってきた。東京における連絡所も、銀座裏、四丁目から新橋にいたる通りの、数寄屋橋より一番通りにあるという。それを裏付けるかのように、この人こそⒷスパイに違いないという、某出版社員を尾行してみると、銀座裏のその付近で、いつもマカレ