雑誌『キング』p.135下段 幻兵団の全貌 エラブカ帰りに幻兵団

雑誌『キング』昭和25年5月号 p.135 下段
雑誌『キング』昭和25年5月号 p.135 下段

っているし、ソ連でも旧支配階級をつかもうとして、盛んに名門、金持ちの反動連に働きかけていた。荒木貞夫元大将の次男護夫元少佐は『モスクワの中佐の訊問内容から、私を握れば日本の支配階級の中に喰いこめると思ったらしい』と語り、細川元中佐も『私が華族だったというので、私の考え方を知って旧支配階級を支配しようとしたらしい』と、口を合わせている。エラブカ時代はコチコチの天皇護持派でありながら、一月の高砂丸で『直ちに入党します』と第一声をあげて、しきりにアカハタの宣伝に使われている板垣征四郎元陸相の次男正(二六)元少尉を前にして、有田元外相の三男浩吉(三四)元軍医少佐は、〝幻兵団〟に反動が多いということを『三年四年で思想の一変するような奴は、何をやらしても信頼できないからだ。つまりソ連側では、民主グループの奴などを相手にならないと思っているのだ』と、説明しているのは面白かった。

ともかく舞鶴に出張した私が、〝幻兵団〟を探すには、日の丸梯団にいるエラブカ帰りの将校をたずねて、色々と話をきき、それからそれへとたどってゆけば、誓約書の件を知っている人ばかりだった。

〝幻兵団〟で発展する筋はエラブカにある。民主グループの急進分子として、クラブ員と称