そこで、冒頭の、麻生議員のいう「福田一さんは、ユスられて困っていると、述懐していた」という言葉を、思い起して頂きたい。何故、福田一議員がユスられねばならないのだろうか。
なお、この麻生質問のあとで、福田一議員から、麻生議員へ申し入れがあったのだ。つまり、息子の不行跡によって、迷惑をかけた相手に対して、親としての誠意を見せたいというのである。そして若干の金が、福田一議員からさとう印刷社長に対して贈られた。その金額は、関係者が明らかにしないので不明だが、この金を渡す時、福田一議員はクドイほど「これは不渡り手形の買戻し代金ではないですよ。あくまで、親として息子の不始末への寸志ですよ」と、麻生議員に念を押したという。
この辺のところが、私がこれから語ろうとする〝怪談〟の、ナゾ解きのヒントなのである。
さて、毎日新聞の記事を読んで、これは何かがありそうだと感じた私は、これを切り抜いてスクラップした。それから数カ月後に、Yというイニシアルの男が元流通機構の社員で、事情に詳しいという話を聞いたのであった。
あるミシン会社の社員になっているという、そのYを探すため、まず各社の人事部を調べたが、本社員に該当者はいない。次は、各支店ごとに持っている、セールスマンの名簿だ。これを丹念に調べていって、ついにYの居所をつきとめたのである。そして、Yは私の会見申込に
応じて、都心の喫茶店に現われた。
おそまつな〝ごあいさつ〟
問題の全日本流通機構株式会社は、登記とう本によると、代表取締役に福田弘(福井県大野市亀山二二八)=注。福田一議員の選挙区=金沢政男(大阪市住吉区中加賀町四ノ六一)の両人がなっており、福田蔵相の名前はない。資本金二千五百万円で、四十年一月十二日設立。
「全国唯一の全国組織をもつ、共同仕入供給の代行機構です」と謳う、会社概況によると、営業種目は多様である。乾物嗜好品、乳製品、調味料、菓子、缶詰等の食料品。外衣、肌着、寝具等の衣料。化粧品、日用雑貨、薬品、酒類、時計、家具等の消費財。前記商品の販売業務と輸出、輸入及び製造と加工。
陳列用ケース、レジスター、計量器、車両等の営業用什器、備品類、包装品等の営業用消耗品。運送及び倉庫業務。旅行あっせん、共同店舗の経営、広告宣伝の請負及び代理業務。生命保険及び損害保険の代理業——。これだけ、列記されているのであるが、この営業種目と、前記キャッチ・フレーズとの間に、何かチグハグな印象が生れないだろうか。
これが〝会長〟福田赳夫以下の連名による、第一頁の「ごあいさつ」になると、さらに意味が判らなくなる。その「ごあいさつ」を紹介する。