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雑誌『キング』p.127下段 幻兵団の全貌 日本人に連絡手段はない

雑誌『キング』昭和25年5月号 p.127 下段
雑誌『キング』昭和25年5月号 p.127 下段

——ハイ。

『貴方は星澤さんに、いつお逢いになりましたか?』
——私は、十日の夜に逢いました。

これは人名を用いるもので、星澤——いつ(反問)——何日、というように反覆される。

このような三種類の合言葉に関して、口頭で授けられる注意がある。この注意の内容をみると、この組織の規模と性格とがうかがわれよう。

『何時、何処で、何国人であっても——それは、日本人か、中国人か、朝鮮人か、あるいは印度人であるかも知れないが、合言葉をもって現れる者がいたら、お前はその者の発する一切の命令をきけ』

2 手段 Ⓐにおいては、将校が所内を見廻ってきて、机をコツコツと叩いて、眼くばせをしたら来い(タイセット)というのもあるが、一般には、各種の用事にかこつけて、思想係将校が呼び出すのではないとカモフラージュして、収容所司令部に呼び出しする。その際に報告の提出、次の命令の下命が行われていた。Ⓑも同様であるが、ともに連絡の手段は、ソ側の一方的なもので、日本人スパイからはとることができなかった。たまたま、担当将校にめぐり合った時には、その旨を申し出ることはできたが。

3 報告 Ⓐは連絡のたびごとに、必ず報告