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編集長ひとり語り第58回 半世紀前のソ連崩壊予言

編集長ひとり語り第58回 半世紀前のソ連崩壊予言 平成13年(2001)10月18日 画像は三田和夫50歳(青函連絡船? 1971.10)
編集長ひとり語り第58回 半世紀前のソ連崩壊予言 平成13年(2001)10月18日 画像は三田和夫50歳(青函連絡船? 1971.10)

■□■半世紀前のソ連崩壊予言■□■第58回■□■ 平成13年10月18日

さて、さる10月4日の第3回から、もう2週間が経とうとしている。「21世紀の戦争」という、ブッシュ米大統領の発言に、一般日刊紙の記事にも、“新しい戦争”という見出しが躍っていた。実際、私の第3回でも、そのタイトルを、「アメリカはいつキレるか」とした。新しい戦争のあり方が、どうにも想像できないのであった。

だから、「ブッシュのやろうとしている陣構えは、20世紀の戦争さながら…」と書いたのである。ところが、私の第3回から数日後、ブッシュは“20世紀の戦争”そのままに空爆、盲爆と、相変わらずの戦争をおっぱじめ、日刊紙上からも、“新しい戦争”のタイトルが消えた。

今をさる半世紀も昔、私はソヴィエト社会主義共和国連邦の戦争捕虜となっていた。その時、ロシア人の一人が、他の一人を指して、「あいつはイブレイだ」とユダヤ人に差別の感情を見せていた。その時、ウクライナから拉致されてきた、割合と知的な炭坑夫のひとりに、「ソ連邦は50何種族かの民族がおり、差別がないと聞いていた。それでもユダヤ人は別か?」とたずねた。彼は、しばらく考えてから、あたりを気にしながら答えた。

「ソ連邦はやがて分裂する。なぜなら、ロシア人の出生率、イスラムのそれより小さいからだ。イスラム各民族は独立し、ソ連邦はロシア人だけの国『ロシア』になるだろう」

1991年、彼の予言通り、ソ連邦はロシアになってしまった。私は、「次はアメリカだな」と思った。

そして、16日の東京新聞特報面。大きく「米はロシアと同じ運命たどる」というブチ抜きの見出し。「タリバン『育ての親』に聞く」というワキ見出し。イスラム系の人たちの意気軒昂ぶりが伝わってきた。

私の姪たちの何人かが、アメリカで生活しているが、それでも、日本人ということでの差別を感じるという。「じゃ黒人は?」と聞くと、「やはり同じでしょう」という。

そうして、調べてみると、白人よりも黒人の方が出生率が高い。つまり貧乏人の子沢山なのである。

そして、今問題のアフガンもタリバンも貧乏と不公平感が底辺にある。アメリカの間違いは、ソ連邦を追い出すため、応援し、今度はタリバンを追い出すため、北部同盟を援助するといった、金持ちらしい単純な考え方である。

貧乏がテロの誘引になっているといわれながら、「麻薬取引国・タリバン」なのも、聞き流すことはできない。人間の社会のことだから、麻薬絶滅などは理想論だが、麻薬の儲けが軍事費を賄っておりながら、貧乏だ、貧乏だ、と叫びつづけるタリバン一味は、やはり放っておけるものではあるまい。

ブッシュには黒人のスタッフも多数いるが、彼らが果たして“心服”しているのか、どうか。

ロシア人とイスラム人とが、ガッチリと組めなかったように、白人と黒人とが、“強大なアメリカ”を共に支持するのだろうか。 平成13年10月18日