■□■警察腐敗は後藤田亀井が根源■□■第35回■□■ 平成11年(1999)11月13日
最近の警察の紊乱腐敗(びんらんふはい)ぶりには、もう言葉がない。しかし3年の警視庁記者、2年の司法記者として、警察官に多くの知己を持つ記者として、どうしてこの20年ほどにかくも乱れ切ってしまったのか考えてみて、1つの結論を見出した。それが、このコラムの見出しそのものなのである。
後藤田は警察庁長官であった。つまり全警察官のトップだったのである。それが、おのれの政治志向のため、田中内閣で官房「副」長官になる。仰ぎ見た長官が「副」になったのである。行政官としては、警察庁長官も、官房副長官も、ともに次官級職だから、本人も周辺も、格別「副」にはこだわらなかっただろう。
しかし、階級制で維持されている警察組織の、多くの人々にとっては、ナゼ、「副」なんだと、奇異に感じ、後藤田の転身を、自己利益追求のための、ナリフリかまわぬ転身に見えたのだった。ここでまず、警察官全員の精神的支柱をブチ壊したのだった。
政治家としての後藤田は、順調に権力を上りつめ、副総理にまで進んだ。資産公開では、20億以上の財産があった。彼の後を追って、亀井静香も政治家に転身した。キャリアだった彼は、警察のカオを利かせて、パチンコのプリペイドカードを企画した。ノンキャリア幹部達の天下り先と世間をゴマ化したが、頭のいい中国人達に偽造されて失敗した。だが、亀井個人は、これで政治資金ルートを確立し、自民党でもトップクラスの集金力だといわれている。
後藤田と亀井。この2人の先輩後輩のタッグチームに、キャリアたちは、その権力、金力にあやかろうとモミ手をし、部下や現場のことは忘れてしまった。一般の警察官たちは、敏感に様子をみてとって「バカらしくてやってられない」という気分に追い込まれ、それぞれの立場で、金を手に入れようとした…。
なによりも、精神的な切磋琢磨を必要とする警察組織は、上官に対する尊敬と信頼によって、その本来の組織を保持できるのである。それを打ち砕いたのが、キャリアと呼ばれる連中であり、根源は後藤田正晴、亀井静香の両名に集約される。小手先の改革など笑止である。 平成11年(1999)11月13日