週刊新潮・昭和40年9月4日号・阪田総裁・人望の裏側」タグアーカイブ

黒幕・政商たち p.060-061 貢献度による特権商社の会

黒幕・政商たち p.060-061 公社に百%依存して、そのOBを重役に引取っている専業者たちが「数字は公社から」と拒み、公社は「予算的にもルーズ」であれば、もちろん米葉の実態を明らかにはしないであろう。
黒幕・政商たち p.060-061 公社に百%依存して、そのOBを重役に引取っている専業者たちが「数字は公社から」と拒み、公社は「予算的にもルーズ」であれば、もちろん米葉の実態を明らかにはしないであろう。

〝怪人物〟コバケンは、こういって新聞に眼を落した。マカパカル敗る! のニュースであった。そして、その頃、通産省は、四十年下期のタバコ輸入割当を決定した。葉たばこ二千八百トン、紙巻二万二千八百本、葉巻百五十万本、パイプ三十一トン。葉たばこ対象国としては

依然として、アメリカ、ローデシア、インド、タイ、そして新たに、韓国が候補に上ってきた。フィリピンはやはり葉巻用だけで、黄色種(ヴァージニア葉)はカクエイ・タナカのいう通り、〝むづかしい〟らしい。

週刊新潮四十年九月四日号「阪田総裁、人望の裏側」という記事は、「専売公社は他の機関と違って、予算的にもルーズな面があるようなんですよ。従来、きびしい経理監督の面がなかったんじゃないですか。公労協傘下の組合には、ヤミ賃金というのがありましてね。これはそれぞれの組合が、理事者側とウラ協定を結んでいるわけです。これが多いのが、専売と電通といわれますがねえ。……大蔵省がうるさくなると、ヤミ賃金なんかの面でしばられる結果を、全専売はおそれているんですよ」と、公社がヤミ賃金を出している事実を社会党系人物の談話として述べている。

一体、このヤミ賃金の財源は何であろうか。

友成外国課長補佐は、米葉の買付け状況を、数字を抜きにして、親切にシロウトにも判り易く説明する。

「ヴァージニア葉は、ピース、富士、ハイライトなどに、香喫味として加えるのであって、主原料は国産葉です。だからピース、ハイライトの伸び率に伴って、米葉の輸入もふえるのが当然で、米葉の輸入増大に特別の意味はありませんよ」

東南ア外交の裏で——

たとえ、ピース、ハイライトの伸び率のグラフと、米葉のそれとを比較してもナゾ解きのヒントは得られない。たばこの輸入は、ドルと数量のワクをはめられるが、現実にこの二つのワク内での買付けをドンピシャにはできないのである。葉には茎の上部から、天、中、本、土と四種類あり、乾燥にも蒸気と日干とあり、土壌や天気で品質、味ともに変り、しかも発酵のため二年間は貯蔵する。

これを組み合せ、混ぜ合せて、銘柄の味、香気を作り出すのだから、公表されている数字をすべて集めてみても、〝大統領の密使〟たちが出した条件のように簡単明瞭な金の動きはつかめない。

そして、公社に百%依存して、そのOBを重役に引取っている専業者たちが「数字は公社から」と、拒むのであれば、前記週刊新潮が指摘しているように「予算的にもルーズ」であれば、もちろん米葉の実態を明らかにはしないであろう。

秋山、協同、米星、国際、吉川、三倉、東亜の七社が「七葉会」といわれるが、このうち東亜産業は消息通によれば公社のきびにふれて、除名され、現在は米葉を取扱っていない。また、民営たばこ以来の貢献度による特権商社の会といわれるにしては、三倉物産の創立は昭和三十 一年であり、元公社副総裁、現米葉協会長石田吉男氏(三洋貿易東京支店勤務)が米国勤務中の女性秘書ミス・マートの実兄が、三倉物産社長だと業界では噂されている。