日別アーカイブ: 2019年10月25日

赤い広場ー霞ヶ関 p.164-165 エラブカ中央委員だった清水達夫

赤い広場ー霞ヶ関 p.164-165 "The monster" Fusanosuke Kuhara, the chairman of the Japan-Soviet Union National Congress on Restoration of the Diplomatic Relations, encouraged the Japanese government to take advantage of the Soviet policy.
赤い広場ー霞ヶ関 p.164-165 ”The monster” Fusanosuke Kuhara, the chairman of the Japan-Soviet Union National Congress on Restoration of the Diplomatic Relations, encouraged the Japanese government to take advantage of the Soviet policy.

一般論としての文化宣伝活動ということは、諜報謀略活動と表裏一体である。例えばソ同盟対外文化連絡協会駐日代表(ⅤOKS)という肩書をもつチャソフニコフ二等書記官は、ソ連人クラブに週二、三回は出入りして情報を集めているという。また「日ソ文献交流センター」を文書諜報機関とみる当局係官もいるといったわけである。

そして私はここにもシベリヤ・オルグの一人、清水達夫氏を見出すのである。

同氏はエラブカ将校収容所で中央委員をつとめていた元中尉である。昭和二十三年八月十二日、舞鶴入港の遠州丸で引揚げてきた。

一方、二十八年五月になると、前年の十一月七日の革命記念日パーティに個人の資格で招待された、〝保守反動分子〟らを中心として、「日ソ国交調整準備委員会」が政治的な動きをみせながら発足した。これはさらに二十九年十月になるや「日中日ソ国交回復国民会議」という形に成長、馬島僴氏が事務総長に就任し、さらに三十年二月十一日には〝怪物〟久原房之助氏を、会長にすえるというところまで発展した。

この二月十一日の同会議役員会について、同日付読売、東日は次のように報じて多数の人名をあげている。

政府に対し、かねて日ソ国交の正常化と対中ソ交流の促進を要望してきた、日ソ国交回復国民会議

(事務総長馬島僴氏)では、今回のソ連政変にともない十一日午前十一時から、東京一ツ橋如水会館で役員会を開き、会長に久原房之助氏を選任のうえ、今後のソ連情勢につき意見を交換する。同役員会には久原、馬島両氏のほか加納久朗(函館ドック会長)小畑忠良(元企画院次長)西村有作(日本水産相談役)伊藤今朝市(日ソ貿易促進会議代表幹事)平野義太郎(日本学術会議会員、日中友好協会副会長)伊藤猪六(大日本水産副会長)ら対中ソ民間団体、業界代表二十氏が出席することになっている。この役員会ではとくに次の諸点につき協議、政府に対する具体的要望事項、同会議の運動方針などを打出す。

一、ドムニッキー文書にともなう日ソ国交交渉についての回答は、さきの鳩山・ドムニッキー会談の結果事実上ソ連代表部の駐在を認めたものであり、国連の沢田大使を通ずるか、または第三国を通ずる交渉方式をとるのは妥当でない。

一、同会議からソ連に対し民間親善使節を派遣することを決め、首相、外相に協力を要請する。

一、三月下旬に同会議初の全国大会を東京で開き、全国漁業会議、日ソ経済会議を開催する。また中国通商使節団来訪を契機に、強力な中ソ国交正常化運動に乗出す。(読売新聞)

日ソ国交回復国民会議(事務総長馬島僴氏)では、きよう十一日午前十一時から神田一ツ橋如水会館で最高役員会を開き、

一、現在空席の会長に久原房之助氏を推す。