正力松太郎の死の後にくるもの p.304-305 毎日の百二十五億の借入金は多すぎる

正力松太郎の死の後にくるもの p.304-305 読売の一行当り最高額は、住友の九億がトップで、合計四十一億。朝日は住友二十二億を頂点に、合計九十四億で、読売の二倍強。毎日は三和の四十二億を最高に、合計百二十五億で、読売の三倍強という、借金である。
正力松太郎の死の後にくるもの p.304-305 読売の一行当り最高額は、住友の九億がトップで、合計四十一億。朝日は住友二十二億を頂点に、合計九十四億で、読売の二倍強。毎日は三和の四十二億を最高に、合計百二十五億で、読売の三倍強という、借金である。

また、読売の場合は、正力の個人持株を分離した、財団法人正力厚生会二〇・九%、正力松太

郎六・六%、小林与三次(副社長、正力女婿)六・二%、関根長三郎(正力女婿)五・五%、正力亭五・〇%(計、正力家で四四・二%)、務台光雄(副社長)四・〇%、高橋雄豺(顧問)三・四%となっている。

このような、株主構成、つまり、経営体のあり方の差は、同時に、銀行資金の流入状態にも現れてくるのは否めない。「正力の読売」として、前だれ姿の〝正力商店〟ともいうべき、零細企業から出発し、中小企業から、大企業と育ってきた読売には、いわゆるメイン・バンクがないことは、先にも述べたが、これを銀行別に借入金を調べてみると、住友の九二六(単位百万円)を筆頭に、以下、三井九二四、富士五八四、勧銀五六○と続き、大阪読売では、三和、富士、住友、東海の各一五四(計六一六)、三井信託一五八、安田信託一五〇、三菱信託一一六、長銀一一一となっている。東京本社の新社屋建設に備えてか、東京での借入金を整理して減らし、これを大阪読売に転嫁している。

「新聞の公器性ゆえに、銀行としては、新聞社には、ある程度の融資のおつきあいは申しあげねばならない」とは、某行幹部の言葉だが、読売の実情をみると、このおつきあいらしく、住友など十行から、合計四十一億四千五百万円を借りている。

これに対し、朝日はメイン・バンク住友から二二一七、長銀一六九八、日本生命一三七五、住友信託二一〇五、三菱信託八二八、富士七一三、三和五五二と、七行合計九十四億八千八百万

円。

毎日はどうかといえば、朝日の住友の二十二億をグンと引き放して、そのメイン・バンク三和から四二三一、日本生命二〇〇五、三菱二一七〇、大和一七〇七、住友九五〇、三井九七二、東洋信託四八八。七行合計百二十五億二千三百万円という、巨額の借入金を抱えている。

これを比べてみると、読売の一行当り最高額は、住友の九億がトップで、合計四十一億。朝日は住友二十二億を頂点に、合計九十四億で、読売の二倍強。毎日は三和の四十二億を最高に、合計百二十五億で、読売の三倍強という、借金である。もっとも、朝日も大阪本社の新社屋建設、毎日はパレス・サイドビル移転と、朝毎は移転、新築を終っているのに対し、読売はこれから二百億の本社建設にとりかかるから、借入金もふえるのだが、それにしても、毎日の百二十五億の借入金は多すぎる。有楽町から〝名誉ある撤退〟をして、土地を売ったにしては(四十三年度の資料の数字だが)相当な赤字だということがうかがえよう。

過去五年間の借入金合計をみてみよう。三十九年度九十億(三和三十七億)(端数四捨五入)、四十年度八十三億(三十三億)、四十一年度八十六億(三十四億)、四十二年度百億(三十四億)と、一度四十年度に下った数字が、以後はどんどん上っている。これも本田時代の三十五年度の五十五億からみれば、物価の上昇率を上廻っての、借入金激増であり、メイン・バンクの三和が、四十、四十一、四十二年度は三十三億台をもちつづけていたのにもかかわらず、借入金合計が上昇していることは、〝借りれるところすべてを借り廻っている〟感じで、四十三年度に、三和が三三八

六から一挙に四二三一と上昇すると同時に、トータルでは九九五〇から一二五二三(いずれも単位百万円)と、大膨張していることは、注目しなければならない。