『…各収容所にスパイを置きます。このスパイというのはソヴエト側の情報部の部長が、その収容所の政治部の部員に対しまして、お前のところに誰かいわゆる非常な親ソ分子がいないか、いたら二、三名だせ、といって出させます。…この男ならば絶対に信用できると、ソ連側が認め場合には、その者にスパイの命令を下します。
…そうしてスパイというのは、ほとんどスパイになっておる人は、非常に気持ちの小さい男で、ビクビク者が多いというので、民主グループを作る場合にはその人を使いません。
…こういう男を選んで、それに始終新聞社から行って連絡しまして、こういうことをやれ、その代わり後のことは心配するな、後で問題が起こった場合にはすぐ連絡する…』
私は興奮しきっていた。カーッと耳がほてっている。踊り上がらんばかりだった。見よ、鉄のカーテンは手荒く押しひろげられ、幻のヴェールは第一枚目をムシリとられた!
『ウン、ウン、これでイケる。ヨシ、書いてやるゾ』
委員会は深夜の十時まで続いたので、私は翌朝を待ちかねて部長に報告した。
『この証言をキッカケに書きましょう。小針証人が国会の保護を前提として、ハッキリと〝ス