パイ団〟の存在を証言したのです!』
だが、はやり立った私を、老練な部長は軽くたしなめて笑った。
『メクラの象見物を知ってるかい。エ?!』
私の調査報告をずっと受け取っていた部長には、このスパイ団は一収容所や一地区の問題ではなく、まして収容所付きの一NK将校の意志で組織されたものなどではなく、非常に膨大な国際スパイ団的な内容を持った組織であることが、早くも判断されていたに違いない。若い私が功をあせ
りすぎて、尻尾をつかんだだけで書いてしまっては、全貌を逸するおそれがあったわけである。
(写真キャプション 参議院で重大証言をした小針氏)
(写真キャプション 小針氏に数多く送られた脅迫状の一つ)