雑誌『キング』p.110上段 幻兵団の全貌 奇怪な組織の輪郭

雑誌『キング』昭和25年5月号 p.110 上段
雑誌『キング』昭和25年5月号 p.110 上段

ちソ連のもつ暗さである——と闘う覚悟を決め、それからそれへと引揚者をたずねて歩いた。その数は二百名を越えるであろうか。

このようにして、緩慢ながら奇怪な一種の組織の輪郭が浮かんできたのである。それによると、

一、この組織は二十二年を中心として、シベリア各収容所において要員が選抜され、一人一人が誓約書を書かされて結成されたこと。

二、これらの組織の一員に加えられたものには、少なくとも四階級ぐらいあること。

三、階級は信頼の度と使命の内容で分けられているらしいこと。

四、使命遂行の義務が、シベリア抑留間にあるものと、内地帰還後にあるものとの二種に分かれ、両方兼ねているものもあると思われること。

五、こうした運命の人が、少なくとも内地に数千名から万を数えるほどいるらしいこと。

などの状況が判断されるにいたった。

これらの状況を、もっと具体的に理解してもらうためには、あつめられた次の五例をみることが、一番手っ取り早いに違いない。まずA氏の場合を、その告白文によってみよう。

一、A氏の場合(手記)