雑誌『キング』p.114上段 幻兵団の全貌 第一の課題!

雑誌『キング』昭和25年5月号 p.114 上段
雑誌『キング』昭和25年5月号 p.114 上段

凝視した、その瞬間——

『ペールウイ・ザダーニエ!(第一の課題)

一カ月の期限をもって、収容所内の反ソ反動分子の名簿を作れ!』

ペールウイ(第一の)というロシア語が耳朶に残って、ガーンと鳴っていた。私はガックリとうなずいた。

『ダー』(ハイ)

はじめてニヤリとした少佐が立ち上がって手をさしのべた。生温かい柔らかな手だった。私も立った。少尉がいった。

『三月八日の夜、また逢いましょう。たずねられたら、シュピツコフ少尉を忘れぬよう』

ペールウイ・ザダーニエ! これがテストに違いなかった。民主グループがパンをバラまいて集めている反動分子の情報は、当然ペトロフのもとに報告されている。それと私の報告とを比較して、私の〝忠誠さ〟をテストするに違いない。そして『忠誠なり』の判決を得れば、ブタロイ・ザダーニエ(第二の課題)が与えられるだろう。続いてサートイ、チェビョルテ、ピャートイ…(第三の、第四の、第五の…)と、終身私には暗い〝かげ〟がつきまとうのだ。

——私は、もはや永遠に、私の肉体のある限り、その肩をガッシとつかんでいる赤い手のことを