小針延次郎氏は帰国に際して、誓約書とは別に、十カ条に及ぶ具体的な命令をもらっている。これは同氏ほか三名の人が、ナホトカで二十二年三月中旬ごろ、政治部員グルフニー中尉から、日本帰還後の具体的活動を示されたものである。
①日本へ帰ったなら、引揚者間の連絡をとるべし。
②東京に連絡所を設け、責任者をきめ、つねに名簿を整理しおくべし。
③米軍がどのような調べをしたか、記しおくべし。
④米軍の進駐政策をつねに注意すべし。
⑤徳田球一氏との連絡を保つべし。
⑥ナホトカで結成した県人会を中心に、民主グループの団結をはかるべし。
⑦引揚者の政治結社は、進駐軍が許さぬから十分警戒すべし。
⑧グループの責任者は全国の同志と連絡すべし。
⑨ソ連の兄弟と手を握り、反動政権と闘争すべし。
⑩あらゆる民主団体と協力、働く者の日本建設に努力すべし。
また一方、裏日本某県の某氏(元軍曹、二十三年五月復員)が、三カ月間のスパイ教育を終