うしてオイソレと、このような〝恐るべき秘密〟を打ち明けられようか。こう考えた私は、再考の時間を与えるべく、『よく考えてみてください』といって、再会を約して帰るより仕方がなかった。〝幻兵団、駒場〟はG氏に違いない。すべての傍証は固まっている。だが、G氏は否定する。
あわただしい歳末の出張から帰京するや、直ちにG氏の否定の言葉の、裏付け調査に取りかかった。東京ではクロくなった。さらに舞鶴に飛ぶ、ここでもクロだった。つまりG氏は、否定するのにウソをついたのだ。
対談中のG氏は、㋑時々苦しそうな表情を浮かべた、㋺煙草に火をつける時マッチの手が震えていた、㋩一時間あまりの間に五回も席をたち、そのたびに数分ずつ私の前から姿を消した。お茶の取り換え三回、煙草の購入一回、来客の名刺一回、いずれも席を立つ必要はなく、ベニヤ板一枚の外には給仕がいるのだから(ズッと気配がしていた)、声を出してお茶と煙草(私の持っていたいい煙草をすすめたが取らない)を命ずればよいはずであり、ことに給仕が『この方が名刺を置いて帰られました』といって名刺を持ってきた時などは、席を立つ理由がまったくない。これは結局、会話の雰囲気に堪えられなくて私の話を寸断しようとしたものだ。
この三点は、彼がこの問題に対して、精神の