たことがない』というが、調査の内容はともかく、呼び出された事実がある。
誓約書の件に関して『初耳』だというが、G氏の在ソ間の行動、民主委員としての活動から、知らないはずはない。また、G氏の学歴その他から、G氏の収容所のスパイ任命事情からいっても、G氏がその選にもれるはずはなく、G氏と親しかった同志たちが、それぞれの誓約の件を私に告白し、口を揃えてG氏も同じだという。
以上のような点から、私のG氏に対する確信は、深まりこそすれ、彼の否定にたじろぎはしなかった。
私はずっとG氏の行動を引続き注目しており、やがて彼自身の口から、真相の一切を聞ける日は近いと思っている。G氏もまた恐怖におののく一人だということを思えば、彼がたとえ一仕事果たしたとしても、ざんげと贖罪によって、彼は許されねばならない。
二、エラブカ将校収容所
〝幻兵団〟がその性格から、知識階級を主な目標にするのは当然なことである。この収容所には幹候出身の尉官がたくさんいたので、〝幻兵団〟の生産地としては、他の一般収容所に比べ