黒幕・政商たち p.044-045 右翼、暴力団の大同団結を

黒幕・政商たち p.044-045 韓国政界の〝黒幕〟でもある金鐘泌氏が、日本政界の〝黒幕〟といわれ、右翼の巨頭と称せられる児玉誉士夫氏と会見し、日韓交渉の推進と、そのための右翼の決起とを要望したという。
黒幕・政商たち p.044-045 韓国政界の〝黒幕〟でもある金鐘泌氏が、日本政界の〝黒幕〟といわれ、右翼の巨頭と称せられる児玉誉士夫氏と会見し、日韓交渉の推進と、そのための右翼の決起とを要望したという。

韓国銀行経済統計年表によると、米国の対韓援助額は、AIDと余剰農産物合計で、六〇年二億四千五百万ドル(余剰農産物千九百万ドル、以下同じ)、六一年一億九千九百万ドル(四千四百万ドル)、六二年二億三千二百万ドル(六千七百万ドル)、六三年二億一千六百万ドル(九

千六百万ドル)、六四年一億四千九百万ドル(六千一百万ドル)=以上いずれも百万ドル以下切捨て=とある。

一方、日韓条約が成立すると無償供与三億ドル、政府借款二億ドル、民間借款三億ドル以上という、「経済協力」が、韓国へ支払われる。

この政府供与分は十年間の分割で、「日本国の生産物と日本人の役務」をドル換算で支払われるが、実際の現金は、韓国へ手渡されるのではなくて、日本政府から日本財界へ素通りするわけである。

この辺が、見方をかえれば、「経済協力」から、「経済侵略」といわれる所以であり、アメリカの対外援助と同様である。

東洋棉花という会社は、古くは三井物産の棉花部が独立した会社である。今、数十年の歳月を経て、一方はAIDの不正にくみしたとして、刑事訴追を受け、一方はAIDの黒幕に妨害されるという事態が、同じ韓国を舞台に展開されているのも、〝因果はめぐる小車〟であろうか。

治安当局の情報はいう。

「韓国政界のナンバー・ツーであり、〝黒幕〟でもある金鐘泌(キム・ジョンビル)氏が、まだ失脚前のこと。来日のさいに、日本政界の〝黒幕〟といわれ、右翼の巨頭と称せられる児玉誉士夫氏と会見し、日韓交渉の推進と、そのための右翼の決起とを要望したという。そして、その資金は? という質問に対して、金氏は、八億ドルにのぼる対韓協力のリベートを流す旨、答えたというんだ」

「フーン。それで児玉氏は?」

「そこで、日本中の右翼、暴力団の大同団結をと、児玉氏は檄を飛ばしたのだ。もちろん、金氏とは親しい元東声会の大親分、町井久之こと鄭建永氏も、児玉先生という仲だから、双手をあげて賛成した」

「で、どうなった?」

「ところが、西日本を握る山口組、田岡親分が、この檄に応じない。…で、遂に〝右翼・暴力団〟の大同団結はならなかったのだ」

「それが、例の〝関東会〟なのか?」

「そうだよ。本来は某一流紙の記者の紹介で相識った、金・児玉会談で、日韓両国の民間反共組織として、『東亜同志会』をつくろうとしたのだ。この資金には、児玉氏が韓国ノリのリベートをあてると演説している」

「山口組が参加しなかったので、東亜同志会が流れて、関東会になったというわけだ」

私は、係官と別れて、現場の商社筋を調べだした。某社の幹部はこういう。