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新宿慕情 p.072-073 美味いものをハラいっぱい食べる主義

新宿慕情 p.072-073 読売時代から「三田ほど、メシのオゴリ甲斐のある奴はいない」と、極め付きであった。
新宿慕情 p.072-073 読売時代から「三田ほど、メシのオゴリ甲斐のある奴はいない」と、極め付きであった。

京都の祇園すゑひろのしゃぶしゃぶは、野菜といっしょに、丸い小餅を入れる。これがまた旨

い。だが、牛やはきしめんでしめる。

思うに、しゃぶしゃぶの牛肉よりも、店の味の違いは、どうも、ゴマダレの隠し味にあるようだ。

意地汚い私は、近ごろでは、しゃぶしゃぶのあと、社に電話して、夜勤の者にナベを届けてもらう。残ったスープを、持ち帰るのである。

徹夜の原稿書きの時に、このスープに冷や飯を入れ、玉子を落として雑炊を作る。これがまたなんとも美味なのである。

私の食事ぶりは、まったくのところ、旨そうに、全部、平らげるのだ。だから読売時代から「三田ほど、メシのオゴリ甲斐のある奴はいない」と、極め付きであった。

もともとが、不規則な生活である。だから、食事だって、不規則である。しかし、私は、ハラが空いた時に、美味いものをハラいっぱい食べる主義だ。どうやら、これが、私の健康法の基本らしい。

つまり、食事中心主義で、間食などはあまりしない。たまに「疲れたナ」と感じた時に、洋菓子程度の甘味を要求する。追分ダンゴを食べたい、と感じた時などは、より疲労している時なのだろう。

追分ダンゴでなければ、中村屋の月餅かアンマン(これに、バターの固まりをコスリつけて食べると、元気百倍。オロナミンCドリンクよりも効く)、でなければ、花園まんじゅうの、春日山クラスの

甘さだ。

酒を呑む時は、あまり、料理を食べない。ツマミも、ほとんど食べない。アルコールの時はアルコール一筋だ。

だから、お招ばれの席で、料理屋に行く時など、「今夜は食べよう」と、決心していれば、酒は付き合い程度に抑えて、モリモリ、料理を残さずに食う。

つまり、呑む時には、ハシゴでベロベロになるけれど、バタンキューと眠ったあと、睡眠数時間で、ノドの渇きに目を覚まして、冷たい水をゴクゴクと飲む。そしてまた、一、二時間眠って小用で起きる。

起きればまた水である。合計して、一升ぐらいも飲むだろうか。そして、入浴する。

ぬる目の朝風呂に入り、ガスをつけて熱くする。その間にもまた、氷を入れた水を飲む。

徹底して水を飲む

こうして上がると、流汗は滝の如く、寒中でも、火の気のない部屋で、バスタオルを腰に巻いたまま、十分、二十分は新聞を読んで、汗がひくのを待つ。

汗がひくと、カーッと、ハラが空いてきて、ペコペコ腹に、モリモリと、三杯ぐらいのゴハンを入れる。

ハラが空いた時に、ハラいっぱいの食事。それに、呑んだら徹底して水を飲む——これが、私

が健康な理由だ、と思う。