旧友たちに、久し振りに逢うと、だれもが私の顔を見て、「変わったなあ」という。確かに変わったようだ。「むかしのカミソリ的なところがとれた」という人もいる。正論新聞をツブさず
に、ここまで育ててきた苦労が、私を、円満にしたのかも知れぬし、年齢のせいかも知れぬ。変わったというのも、〈良く〉変わったのであってほしい…。ともかく、十七年前の文章といまの文章とを比べていただくのも、その〈変わり方〉の証拠かも知れない。そんなつもりでの、旧作の再録でもある、のだ。物書き一筋で、もう四十年も過ぎた——。
昭和五十年十月 三 田 和 夫
この著を、母の米寿の祝に捧げる——
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