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編集長ひとり語り第44回 さあ、次の選挙は近いぞ!

編集長ひとり語り第44回 さあ、次の選挙は近いぞ! 平成12年(2000)7月4日 画像は三田和夫50歳(右から2人目お辞儀 1972.04.05)
編集長ひとり語り第44回 さあ、次の選挙は近いぞ! 平成12年(2000)7月4日 画像は三田和夫50歳(右から2人目お辞儀 1972.04.05)

■□■さあ、次の選挙は近いぞ!■□■第44回■□■ 平成12年7月4日

7月4日、総選挙後の首相指名を行う国会が召集される。今期は2日間で、6日に終了して、8日の沖縄サミット、福岡蔵相会議へと、森第二次内閣は忙しい日程に追い込まれる。

と、その段取りだけは、順調に進んでいたのだが、6月30日、東京地検特捜部は、自民党・江藤亀井派のボス、中尾栄一元通産相を受託収賄容疑で逮捕した。

例の許永中。公判中に韓国の病院から逃走して、十何人もの人々を、逃走罪の共犯に巻き込んだ。許の人脈から、中尾のワイロ事件が浮かんできた。一説には、許が検察との取引で、中尾の件をバラしたともいわれた。

中尾は落選していたので、逮捕も簡単だったが、当選(当選証書を選管から受けた瞬間から、国会議員の身分となり、国会開会中は不逮捕特権がある)していても、30日は国会開会中ではないから、同様に簡単だ。それでも、6月25日の投票日、26日の開票日で、当落を確かめてからは、27、28、29と丸3日間しかない。

NHKテレビを見ていると、候補者のタスキをかけている中尾に、この許永中資金の質問を浴びせている。それに対し、「秘書を10人も使っていて、その秘書のやったことだ。週刊誌的な取材をするな。政治は堂々としてなければ」といった趣旨の返事をしている。政治家の誰でもが、逮捕される前は、“堂々”と否定するものだ。

さて、ここで疑問が湧いてきた——贈賄側の若築建設の当時の石橋浩会長は、贈賄の時効で不問とされたようだが、その義兄の「陳述書」が早くから中尾の収賄を指摘していたというのである。

この事件では、各紙を比べて見ていると、東京紙が一歩先んじているようだ。逮捕翌日7月1日の朝刊で、「自民幹部聴取も、地検検討」と、贈賄側から金を受け取った人物の動静を伝え、同夕刊では、「陳述書」を書いた。前述の疑問というのは他でもない、各紙とも「自民2代議士側に資金」〈7・1朝日朝刊〉などとしながら、2人の名前を明らかにしないことだ。

「派閥領袖クラスを含む2人」(7・1日朝日夕刊)が、翌2日朝刊になると「…2人に計一億数千万円…」というが、名前のヒントがないままだ。同産経夕刊も「陳述書」を書き、読売夕刊は「1人は建設相経験者」「…取材に対し『資金提供は全くない』と否定」。

2日朝刊。産経「超大物元議員にも現金、当時の秘書受領」、毎日「現職波及を注視」と、日曜日らしく閑散な紙面だった。が、この朝10時の“サンデープロジェクト”に、亀井静香政調会長が、田原総一朗司会のもとで渡り合った。またフジの“報道2001”には、管が出演。

さて、明けて3日の毎日朝刊は、竹下元首相の名を一面で、社会面で亘議員否定談話を報じた。各紙が亀井の否定談話をのせる。

3日の東京夕刊は「自民大物、参考人聴取を拒否」と1面の大見出し。亀井が今春、参考人の打診を地検から受けたが、総選挙前だからと、出頭を拒否したことを報じた。快哉!

こうして眺めてみると、各新聞とも、竹下と亀井の名前をはじめから知っているにもかかわらず、活字にするのに丸3日もかかるとは、一体どういうことなんだ? 中尾逮捕と同時に書くべきことを、捜査の進展で判ってきたようなポーズをとるところに、自民党に癒着している日刊大新聞の姿がある。

また亀井が、田原の司会の番組にだけ出て“弁明”するあたりに、これまた癒着の疑問を感じるのである。フジが午前七時半から、テレ朝は午前十時からで、事実、管は掛け持ちしているのだから、亀井だってできるハズである。弁明するなら、媒体は多い方がいいはずである。

もしも亀井が逮捕でもされたら、森内閣は空中分解で、またまた総選挙である。 平成12年7月4日