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新宿慕情104-105 市村ブーちゃんは、私が先生の息子と親しい、と知って、こうささやいた。「大丈夫かい? キミ。あの先生は、オカマ趣味なんだぜ」
新宿慕情106-107 そして、私を手招きして、ベンチのように長い、ピアノ椅子の、横に坐れ、という。私は、素直に、先生の隣に腰かけた。
新宿慕情108-109 いったい、オカマというのは、どんなことをするのだろうか。ことに、相手は〝その道〟の大家ではないか。この絶好のチャンスを逃すべきではない!
新宿慕情110-111 「このナフキンみたいなものはなにに使うのです?」「毛唐どもは、京花など使用しないだろ。後始末に、あの布切れを使うのだよ」
新宿慕情112-113 こうした拘禁状態の中で、セックスが、どういう形で出てくるかが、私の興味の中心だったけど、これが、まったく、期待外れであった。
新宿慕情114-115 オカマの多くは、こうして、女装によって、女の芸を売り物にして生活しているらしい。そして、それはそれなりに健全で…
新宿慕情116-117 正力家の娘婿であり、内務官僚として、エリートコースを進んでいった小林さんには、たいへんな〝初体験〟であったらしい。
新宿慕情118-119 路地ウラの旅館の一室で、陰微な感じで、十名足らずの客が、フトンのまわりをグルリと取りまいて、息を詰めて凝視するなかで、濃厚に演じられていた…
新宿慕情120-121 そのころの上野。それは、ノガミと陰語でいうのがふさわしいような町だった。~街角には、パンパン、オカマが、道行く人の袖を引いていた。
新宿慕情122-123 「三田サン。あんまりおそくなると…。早く、オカマに会わせてよ」女性記者は、夜のノガミがコワイ、と聞かされていただけに、またぞろのブラブラ歩きに、ジレてきたようだ。
新宿慕情124-125 オカマの和ちゃんが、打ち明けてくれた、彼女たちの〝秘めたる行為〟とは…と、それを述べることにしよう。
新宿慕情126-127 酔客や、場馴れしていない客などは、ショートであれば、必ず〝満足〟させ、〝疑い〟ももたせずに帰す自信はある、と、和ちゃんは断言する。
新宿慕情128-129 もはや、ノガミの和ちゃんの着物をたくし上げて、隆起物をゴマ化すのは、古いのである。突出部分を、外科的に除去してしまうのである。
新宿慕情130-131 「一九一七年の革命で、我がソビエト社会主義共和国連邦ではセックスも解放された。それは働く労働者と農民と、すべての人びとの共有である」
新宿慕情132-133 逮捕された時は、刑事たちは、女性だと思い、留置も、女性房に入れた。だが、彼女は、「男だから、男性房に入れろ」と、ワメクのだ。
新宿慕情134-135 戦争のおかげで、軍陣医学が進歩して、整形外科の技術は大いに向上した、という。弾丸が当たって、オチンチンを吹き飛ばされた場合など、オナカの皮を丸めて、まず…
新宿慕情136-137 店の電話番号と女の名前がわかれば〈初会〉は十分。二回目で一万円ほど。これで〈ウラを返して〉、三回目ともなれば、もう〈馴染み〉だから二、三万…
新宿慕情138-139 男根と睾丸の切除は、東京の医者にかかった。ヤミ手術なのである。ヤミだから高価い。「二、三百万円かかったわ…」と、彼女はボカしていう。
新宿慕情140-141 とうとう、芸者とホステスとが登場しなかった。不公平だから、サッと走り書きをしようか…。私が、〝おとなの男〟になったのは、満二十歳の誕生日の夜だった。
新宿慕情142-143 仲居のおキクさんは、万事承知の助で、この〝坊や〟の筆下ろしのために、然るべく、手配をしていてくれたらしい。日本髪の、いかにも、芸妓ッぽいお姐さんが入ってきた。