黒幕・政商たち p.032-033 伊藤忠—防衛庁機密漏洩事件

黒幕・政商たち p.032-033 この時には、有吉久雄防衛研究所長から、「職務上保管していた『秘』の表示のある、『第二次防衛力整備計画事業計画案の概要』を閲覧させ」(読売記事)られた疑いで、朝日新聞篠原宏記者が登場するのである。
黒幕・政商たち p.032-033 この時には、有吉久雄防衛研究所長から、「職務上保管していた『秘』の表示のある、『第二次防衛力整備計画事業計画案の概要』を閲覧させ」(読売記事)られた疑いで、朝日新聞篠原宏記者が登場するのである。

そして、面白いことには、治安当局であるところの、警察の外事、公安関係が会費を払って調査会の会員になっているということである。新聞、雑誌にある「愛読者」と同時に存在する〝憎読者〟のたぐいであろう。

そして、これからの「情報活動」は、すべて、ゾルゲ・スパイ事件と同じケース。政界人や財界人の、側近と呼ばれ、参謀と称される人たちと、それを取巻く〝記者〟たちが、主役にならざるを得まい。警察予備隊という名前と、そのスタッフとで出発した〝日本の新しい軍隊〟が、今、持っている性格をあまりにも、象徴した事件が、「三矢事件」であり、その「三矢事件」は、防衛庁と自衛隊との性格をそのままに持ち越して、今また「安全保障調査会」に、その姿をチラリと見せたのである。

「安全保障調査会」ばかりではない。もっと露骨に出てきたのが、四十三年春の「伊藤忠—防衛庁機密漏洩」事件である。そして、この時には、有吉久雄防衛研究所長から、「職務上保管していた『秘』の表示のある、『第二次防衛力整備計画事業計画案の概要』を閲覧させ」(読売記事)られた疑いで、朝日新聞篠原宏記者が登場するのである。

事件が表面化したのは、有吉氏の保管していた書類の表紙ナンバー(14-50)のあるコピーが、伊藤忠商事などの、商社関係に流れていたからである。いわゆる、総合商社といわれる貿易商社が、どんな形の〝商売〟をするのであろうか。話は少し旧聞に属するのだが……

第2章 米対外援助資金への疑惑

昭和四十年。〔三月九日ニューヨーク発AP〕米司法省は九日、米国東棉社ニューヨーク本社を含むニューヨークの貿易会社二社を詐欺罪で告発した。告発の理由は、米対外援助による南ベトナム、韓国向け資材について、米政府に偽りの申告をしたというもの。