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雑誌『キング』p.138下段 幻兵団の全貌 彼らの活動を監視

雑誌『キング』昭和25年5月号 p.138 下段
雑誌『キング』昭和25年5月号 p.138 下段

今になって悩んでいる多数の人たちに、けっ起の決意を力づけてくれるだろう。

影なき男の恐怖におびえる、不幸な同胞たちよ。勇気を出して、一切を打ち明けなさい。ここは自由と平和の日本だ!

だが、一方にはこのような人たちを売国奴と呼び、自らは愛国者を気取って、欣然と〝幻兵団〟の一味として努力を続けている人たちのいることに注意しなければいけない。

スパイの手先となって、自由と平和の国日本に、新戦争を放火しようとする〝幻兵団〟!

国民は彼らの全貌を知り、彼らの活動を監視し、彼らの放火を未然に防がねばならない。

(終り)   

雑誌『キング』p.138中段 幻兵団の全貌 ソ連へ忠誠を誓う百人

雑誌『キング』昭和25年5月号 p.138 中段
雑誌『キング』昭和25年5月号 p.138 中段

その第二は、たとえば炭坑のチェーン・コンベヤが故障を起こせば、モーターを分解して完全修理せずに、力まかせにチェーンを引っ張って無理やり動かしてしまう、といったような原始的なソ連的方式から、一万人のスパイをつくっておけば、裏切り、死亡その他の事故で、一万人が百人に減っても、その最後までソ連へ忠誠を誓う百人に期待するということだ。つまりスパイの目減りを見越していたともいえよう。だからソ連にとっては、裏切りのスパイ達によって、その組織のある程度が暴露されても、十人でも百人でも〝本物〟が残ればよい、と考えているに違いない。

〝スパイ〟を拒否しても、殺されもせずに無事引揚げて、静かに平和な幸福につつまれて生活している人がいるということは、〝生きて帰る〟ために誓約書を書いてしまっても、引揚げてきた

雑誌『キング』p.138上段 幻兵団の全貌 スパイ恐怖政治への服従心

雑誌『キング』昭和25年5月号 p.138 上段
雑誌『キング』昭和25年5月号 p.138 上段

事件がまだ現在進行中であるため、公表を許されなかった資料もあり、またやむなく伏せ字や仮名を用いなければならなかったものもあったが、以上述べたところで〝幻兵団〟とはいかなるものかということは、おおむね分かっていただけたことであろう。

このようにして組織された〝幻兵団〟にはいかにもロシア的な——ソ連的というよりは大まかで、単純で、原始的な〝ロシア〟という感じがする——二つの特徴が見出される。

その一つは、現ソ連政権のスパイ恐怖政治に対する絶対的なソ連人の服従心、すなわちソ連人のもつ〝NKへの死の恐怖〟から判断して、銃口の前で誓約書を書かせたことによって、あらゆる種類の日本人に、いつまでも脅迫の効果があると信じて、裏切りを予想しなかったことである。