雑誌『キング』p.22中段 シベリア抑留実記 収容所生活

雑誌『キング』昭和23年2月号 p.22 中段
雑誌『キング』昭和23年2月号 p.22 中段

布切れに着目された。ほとんどのものが褌をつける習慣を忘れ、襦袢は袖なしで裾も切りとられてヘソが出る。上衣の裏地まではがされ完全に押しつまって、もはや使用ずみのやつを洗濯するより他に手がないという時、ダイナマイトを多量に使う露天炭坑の新作業場ができ、火薬袋が手に入って解決された。

食事はもちろんのこと、煙草、茶、石鹸まで、すべて定量があって、わずかではあったが支給されたが、それらの定量は表に終わってしまい、係のソ連人が横流しをするため手に入るのはまったく少ない。この傾向は中央を離れるにしたがい猛烈となり、辺ぴな土地や森林伐採などは、そのために衰弱もし、栄養失調になっている。私達のところは鉄道沿線の大きな炭坑町なだけにその被害は少なかったが、それでも幾度か糧秣係が逃亡した。煙草は一月分が普通に喫っ