正力松太郎の死の後にくるもの p.366-367 朝日と読売との一大激突

正力松太郎の死の後にくるもの p.366-367 東京、大阪の二大決戦場。朝日の大阪首位は、読売との差二十五万であるが、読売の東京首位は、朝日を四十七万と大きく離している。それぞれに相手方に〝追いつき追いこせ〟とばかり、激しい販売合戦を展開している
正力松太郎の死の後にくるもの p.366-367 東京、大阪の二大決戦場。朝日の大阪首位は、読売との差二十五万であるが、読売の東京首位は、朝日を四十七万と大きく離している。それぞれに相手方に〝追いつき追いこせ〟とばかり、激しい販売合戦を展開している
正力松太郎の死の後にくるもの p.366

ここ数年で読売が一位に……

さて、問題は、朝日と読売との一大激突である。ともに、五百万台という大台にのり、その差はわずか四十万部(正確には、四〇一、九〇七部)である。(表2)をみていただきたい。発行所別にまとめてみた。

朝・読 発行所別部数(表2)

第四項の「比較部数」というのは、朝・読のどちらが、どれだけ多いかというのは、該当社の欄にプラス記号+で示した。これでみると、朝日は大阪、名古屋、西部の三発行所で読売をリードしているが、東京、北海道は負けており、関東以北に強いという読売の伝統はくずれていない。もっとも、読売は名古屋がなくて北陸なのでこのところは比べられないし、朝日の三十六万に対し、読売九万という、勝負にならない数字である。

特に面白いのは、東京、大阪の二大決戦場である。朝日の大阪首位は、読売との差二十五万であるが、読売の東京首位は、朝日を四十七万と大きく離している。

ところが、東京、大阪での両社の伸び率をみると、東京では、朝日十七%に対し、読売十三%。大阪では、朝日十二%に対し、読売十七%と、それぞれ逆になっている。ということは、大阪では読売が、東京では朝日が、それぞれに相手方に〝追いつき追いこせ〟とばかり、激しい販売合戦を展開しているということである。つまり、攻撃側の方が懸命の戦いをしかけているので、伸び率が高いということを物語る。

しかし、東京での伸び率の朝日十七%対読売十三%で、四十七万の差があるのにくらべると、大阪で朝日十二%対読売十七%で、二十五万の差というのでは、大阪での読売の追いあげの凄まじさが、しのばれるというものである。

ことに、北海道をみると、四十年の朝日十三万対読売十二万という、ほぼ同数だったものが

三年後には逆転して、読売がリードを奪っており、しかも伸び率が、朝日の二十六%に対して、読売は五十%、約倍の高率である。