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雑誌『キング』p.126上段 幻兵団の全貌 写真を撮影された

雑誌『キング』昭和25年5月号 p.126 上段
雑誌『キング』昭和25年5月号 p.126 上段

立証している。

写真撮影は、戸外で行われるのと、室内と、その時の状況で違っている。

『ある日、医務室からソ連軍医の迎えがきた。黒いカーテンのかげから、黒メガネ、口ヒゲの一面識もない男が出てきて、〝ヤア、久し振りですね〟と、ニコヤカに日本語の挨拶を投げた。いぶかる私の前で、その男は静かにメガネとヒゲを取り去った。そこに現れたのは、誓約書を書かされた時のあの少佐だった。少佐は鄭重に〝サア、写真を写しましょう〟と、事の意外さにぼう然としている私をうながした。私は正面、横向きの写真を撮影されてしまった。この写真のため、私はもはや永遠に、影なき男の銃口から離れられないという、強い印象をうけたのだった』

写真撮影の状況を、〝影なき男の恐怖〟におびえる某氏は、このように筆者に向かって告白している。さらにこれを裏付けするために、ここにバルナウルにおける状況を説明しよう。別図のように、誓約書をかかせるには、街角から自動車にのせて、かなり遠いA公園の森の中で行い、写真撮影には、一たん収容所司令部に入ってから、車庫と便所の間を通り抜け、B公園の林の中で行っていた。写真は正面、左右両横面、上半身と四種類を写す。

雑誌『キング』p.125下段 幻兵団の全貌 ソ連情報部に誓約

雑誌『キング』昭和25年5月号 p.125 下段
雑誌『キング』昭和25年5月号 p.125 下段

私ハ、帰国後日本ノ完全民主化ト、世界平和ノタメニ、ポツダム宣言ノ完全履行および新憲法ノ完全施行ヲ監視スルト共ニ、新戦争放火ヲ企図スル米国ノコトニ関シ、ソ同盟側ノ質問、或ハ問題ニ対シテ、回答スルコトヲ誓イマス

之ハ私、本人ノ自由意志ニ依ルモノデアリ、決シテ強制サレタリシタモノデナイコトヲ、下記ノ名に於テ誓約イタシマス

ハ、〔ウォロシロフ〕

(ハバロフスクと全く同文)

ニ、〔エラブカ〕

誓約書
ソ連邦情報部(特務機関)ニ左記事項ヲ誓約スル
①家族、兄弟、親類、友人ヲ動員シテ命令を速カニ達スル
(②以下⑯まで不明、この中に、日本帰還後の生活保証の項もある)

この四例がⒷである。この誓約書からすれば、使命遂行は絶対日本国内でなければならず、しかも、Ⓐのごとくわずらわしい摘発などは命ぜられていない。

同時に偽名と合言葉が与えられているが、この誓約に続いて、写真撮影が行われていることが、いよいよ本格的なスパイ組織であることを