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迎えにきたジープ p.164-165 極東に十数発の原爆を保有

迎えにきたジープ p.164-165 Isn't the dozen cities for which the Town Plan map was not created the target of the atomic bomb attack? I guess that as many atomic bombs as those cities are stored in the "Far East".
迎えにきたジープ p.164-165 Isn’t the dozen cities for which the Town Plan map was not created the target of the atomic bomb attack? I guess that as many atomic bombs as those cities are stored in the “Far East”.

開戦! 司令部は『PQ一二三四』と、爆撃目標のタウン・プラン・マップの番号さえ基地へ命ずればよい。あとはこの発令時に目標への所要飛行時間をプラスすればよい。

『PQ一二三四、OK』と返事が来る。そこでこの番号の地図はもう不要である。計算と計器と押ボタン。これだけで戦争は終る。

では果してソ連の何都市がこのタウン・プラン・マップとなっただろうか。私の知識では在ソ日本人捕虜収容所数と、それらの都市の軍事的価値とから綜合判断すれば、最低百五十都市の地図が完成しているに違いないと思う。

ところが、ウラジオストックをはじめとして、コムソモリスク、チタ、ハバロフスクなどの大都市については、引揚者はあまり詳細に訊問されていないという事実がある。

このような地図を作るためには、それこそ一木一草にいたるまでも、その位置、高さなどが究明されなければならないのに、最も重要な目標であるこれらの都市の調査が、極めて大雑把だということは如何なることだろうか。

それは、これら重要都市のタウン・プラン・マップは作られなかったということであり、それはまた、個々の爆撃目標は必要なかったということである。

私の推断であるが、これらの都市は、大陸と樺太の各二市をも含めて十数市は間違いないところであると思う。タウン・プラン・マップのない〝全滅させられる〟都市、このことはアメリカは、極東に十数発の原爆を保有しているということになるのではあるまいか?

非常に廻りくどい表現を使ったが、結論すればタウン・プラン・マップのない十数都市は原爆攻撃都市で、その都市数だけの原爆が「極東」に貯蔵されていると私は推察している。

そしてこの貯蔵の仕方は、マップの符号、番号制と、押しボタン戦争の形態から判断して、航空機ごと(装着されて)貯蔵されているのではなかろうか?

ここでわれわれはさる三十年三月十四日、鳩山首相の外人記者団会見における「原爆貯蔵容認」説なるものを、再び想い起す必要がある。

鳩山首相は約四十分間にわたり外人記者団と会見した。その席上、首班指名、対ソ交渉、日韓国交調整などの問題について述べると同時に、

『アメリカが日本に原子爆弾を貯蔵するという問題であるが、現在は力による平和の維持ということが必要な状況であるから、認めざるをえないと思う』

と語り、その日の夕刊一面トップは『原爆貯蔵容認せん』という大見出しで飾られた。この談話はたちまち各界に反響を呼んで、大変な騒ぎとなってしまったのも当然だ。当時の新聞の見出しをひろってみると、『各界に波紋呼ばん、原爆貯蔵』(十四日付読売夕刊)、『原爆貯蔵には反対、左社鳩山言明取消し要求』(十五日付朝日夕刊)。

思わぬ反響に驚いた鳩山首相は十六日の記者会見で、

『原爆を日本においてくれという、アメリカからの話もなければ、またそうした切迫した状態に、日本が置かれているとも考えていないが、先の会見で仮定の議論として出たので、私の腹の中を言っただけだ。言いかえれば、必要のないのに答えたわけだ』(十六日付読売夕刊)と弁明した。

迎えにきたジープ p.166-167 最も重要な看板は「極東軍」

迎えにきたジープ p.166-167 U.S. officials are confused about the fact that Prime Minister Hatoyama said in a meeting with foreign reporters, "To store atomic weapons in Japan should be accepted if it can strengthen peace."
迎えにきたジープ p.166-167 U.S. officials are confused about the fact that Prime Minister Hatoyama said in a meeting with foreign reporters, “To store atomic weapons in Japan should be accepted if it can strengthen peace.”

思わぬ反響に驚いた鳩山首相は十六日の記者会見で、

『原爆を日本においてくれという、アメリカからの話もなければ、またそうした切迫した状態に、日本が置かれているとも考えていないが、先の会見で仮定の議論として出たので、私の腹の中を言っただけだ。言いかえれば、必要のないのに答えたわけだ』(十六日付読売夕刊)と弁明した。

またワシントン三月十四日発UP電(十六日付毎日新聞)は次の通り報じている。

「鳩山首相が十四日外人記者団との会見で『日本に原子兵器を貯蔵することは、これによって平和を強化しうるなら認めるべきだ』と、発言したことについて、米官辺筋は当惑の色をみせている。

米国務省では、これが既定事実か、または近く実際的な交渉にとりあげられる段階にあるかについて、何ら知るところがないと述べている。

純粋に軍事的見地からいえば、日本に原爆を貯蔵することは、共産側が太平洋で原爆戦争に乗出した場合、これに反撃するためには有効なものとなろう。

しかし現在の日米間の政治的関係の枠内で、これに必要な協定を結ぶことが可能であるかどうかは、高等政策の問題で、軍事的概念以上のものである。このため軍部筋では、この問題について論評を加えるのをさけている。

しかし米外交筋では、鳩山首相の言明は、中ソ両国の日本に対する圧力が強くなった場合、日本のとるべき道について述べたものとみている。

しかし同首相は、東西間の緊張緩和の希望を表明しており、これは鳩山首相が原爆貯蔵問題について、決定を行わねばならぬ事態にならぬよう、望んでいるものと観測されている。」

この原爆貯蔵容認問題を、冷静に考えるためには、この秘密のNYKビル(郵船ビル)のタウン・プラン班の仕事を、一つの重要な資料として検討してほしいのである。

いずれにせよ、このタウン・プラン・マップの基礎は、日本人技術者の〝技術〟によってでき上ったのである。そしてこの都市計画(タウン・プラン)班は、二十五年六月二十五日に勃発した朝鮮動乱のさいも、情報準備が全く出来ていなかった朝鮮について、徹夜仕事で基礎作業をやられたのであった。そして元山上陸作戦のはじまる三日前に、同じようなタウン・プラン・マップができ上ったのだった。

最後にもう一つ付け加えるならば、さきほど、読者の注意を呼んでおいたように、市ヶ谷の司令部は三枚看板であるということだ。

その最も重要な看板は「極東軍」である。極東軍ということは、日本を防衛する目的の軍隊ではなく、米国の安全と防衛のための、中共、ソ連への対抗兵力である、ということだ。

そして、この事実は元の参謀本部陸地測量部、現在の建設省千葉地理調査所で、正確な日本

地図を作らせて、タウン・プラン・マップと同様の地図を作ったことがあった(と私は思う)ということで裏付されるだろう。日本もまた、シベリヤ、樺太、大陸の各都市と同じように、「ST四三二一、消滅!」といった工合に、精確無比な爆撃を受ける可能性があるということである。