(写真キャプション 高砂丸引揚者、参議院在外同胞特別委員会で状況証言。立てる向って右より有田浩吉、尾上正男、高橋善雄、内山明、板垣正、長命稔、種村佐孝の各氏。左端後向きは岡元委員長。)
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雑誌『キング』p.103下段 幻兵団の全貌 アカハタの反ばく
府特別審査局などの関係当局の政府委員を、参議院引揚特別委員会によび、説明を求めるにいたった。
これらの動きに対し、日本共産党機関紙『アカハタ』は、八回ほども連続して大きな紙面をさき、〝ブル新(ブルジョア新聞の略)の反ソデマ〟と反ばくした。こうして読売新聞がスクープした『ソ連抑留日本人のソ連スパイ組織』の問題は、国会にまで持ち込まれる重大問題化するとともに、商業新聞対機関紙の論争をまき起こしたのだった。
問題の焦点は、『ソ連に抑留された日本人が、ソ連の利益のために、在ソ間及び日本帰還後に、諜報行為を働く組織』が有るか、無いか、であって、〝幻兵団〟の有無ではない。読売新聞は、〝幻兵団〟というジャーナリスティックな呼び方をしているが、これはいわゆる〝幻兵団〟であって、〝幻兵団〟と名付けられた組織はないのである。
果たしてそれでは『ソ連スパイ網』があるかどうか。
私はここに『有り』と断言し、アカハタ紙の反ばくぶりを笑うものである。
私は読売新聞社会部記者として、二年半にわたる長期間の調査に、忍耐と努力とを傾けて、この恐るべき事実を握った。今ここに、一切の
雑誌『キング』p.103中段 幻兵団の全貌 毎日新聞もまた
は、事実無根のことをあれほどデカデカと書けるものではないし、しかも〝幻兵団〟員だったという幾人かの人が、住所、氏名、年齢、経歴、職業などを明らかにして、その事実を語っているし、国会速記録などにいたるまで、幾つかの具体的データを掲げているからには、そんなこともあるのかもしれないといった程度の肯定が行われていたようである。
だが、紙面では数日おきに、次々と具体的事実を示して、熱心にその真実性を主張し、回を追って信ぴょう性を高めていった。やがて毎日新聞もまた〝ベゴワード白書〟なるテーマで、読売の〝幻兵団〟の記事を裏書きする、ベゴワード地区のスパイ事実を大きく報道した。国会もまたこれを重視して、国警本部、法務