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赤い広場―霞ヶ関 p046-047 『アカハタ』紙が米側の謀略だと主張。

赤い広場―霞ヶ関 p.46-47 『アカハタ』紙が米側の謀略だと主張。
赤い広場ー霞ヶ関 p.046-047 The Akahata argues that it is a United States stratagem.

「元陸軍少将男爵福島四

郎(六七)を中心とする謀略機関」が「CICの指導で引揚者の思想調査と謀略に従事」している、という内容である。

ところが、この内容たるや、ラストヴォロフ事件の志位正二元少佐や、第一次梯団長の長谷川宇一元大佐、さらに阿部行蔵、小松勝子両氏らの不法監禁事件の被害者中島輝子さんなど、全く何の関係もない人たちが引合いに出され、『この事実も彼らの企らみを実証しているものである』と結論している。

この見当外れの内容ばかりで、肝心の「福島四郎を中心とする謀略機関」の内容は、機関員の名前一つ述べられていないのである。非常に無理のあるコジツケ記事の感じがしていた。

続いて十一月二十三日、「ソ同盟代表部に謀略工作、アメリカ諜報機関と日本の警察、公然と代表部の車をつけまわす」という記事が現れた。

アメリカ諜報機関と日本の警察が、ソ同盟代表部に悪らつな謀略工作をやっていることは、白昼に外交官が拉致されるという〝ラストヴォロフ書記官事件〟をみてもはっきりする。かれらは現在もなお、陰険な謀略を続けている

という前文で、警視庁公安三課に所属する三万台の車二台が、代表部員を尾行しているし、張込みもしているし、深夜に玄関の呼鈴を押したり、投石したりするという内容である。

記事の主内容はこの三万台の車二台のことであるが、取材は浅く少しも突込んでない。「アカハタ」が指摘したのは三—三五三五四と三—三五三五五の二台であるが、三—三五三五六、七と、続きナムバーの四台が、二十八年一月七日から、エドワード・ルーなるアメリカ人名儀で、米国官庁へ貸与されているのである。つまり車籍は登録されておらず、ナムバーだけが貸与されているということである。

そしてこのエドワード・ルーなる人物は如何なる人物で、米国官庁なるところはどこかと、 この記事はもっともっと掘り下げ得る記事であるが、問題はそんなことではない。

この付図、写真二枚入り十段百九十一行という大きな記事の狙いは、終りに素知らぬ顔で付加えられている、たった十三行にある。従って三万合の車のことなどはどうでもいいし、尾行や張込みは謀略工作ではない。

問題の十三行とは次の通りである。

アメリカ諜報機関員、元陸軍特務機関員福島四郎元少将が結合している、東京丸ビルの連邦通商株式会社は、表面民主商社をよそおったスパイ商社である。社長の小方は戦時中から日蘇通信社に関係し、現在も社長としてソ同盟情報を担当している人物だし、取締役吉野松夫は、現に警察庁警備二課長(外事特高)平井学警視正や、同課の丸山警視にソ同盟、中国をはじめ、共産党や大衆団体の情報を提供している。

赤い広場ー霞ヶ関 p.132-133 赤軍の線はまだ潜在化している

赤い広場ー霞ヶ関 p.132-133 Investigator officials leaked, “We are no longer interested in MVD(Ministry of Internal Affairs) spies. Now we are investigating the actual situation of the 4th section of the Red Army”.
赤い広場ー霞ヶ関 p.132-133 Investigator officials leaked, “We are no longer interested in MVD(Ministry of Internal Affairs) spies. Now we are investigating the actual situation of the 4th section of the Red Army”.

代表部の組織自体がそれぞれにスパイ網を持っているが、それはそれぞれにダブっているこ

ともあり、内務省と赤軍の線とを除いてはいずれも比較的弱い。すると、何といっても中心になるのはこの二つの線であるが、ここに注目されなければならないのは、ラ事件をはじめとして幻兵団などでも、現在までに顕在化されたのはいずれも内務省系統の事件ばかりであるということである。

ラ事件捜査当局の某幹部は『われわれが問題とするのはもはや内務省系スパイではない。いまや赤軍第四課系スパイ線の実態究明にある』と、洩らしたといわれているが、まったくその通りであろう。

私がここに収録した幻兵団の実例の幾つかが、いずれも内務省系ばかりである。日本人収容所のうち、赤軍直轄の収容所があったことはすでに述べたが、これらの赤軍労働大隊でスパイ誓約をした引揚者で、当局にチェックされた人名はまだそう多くない。

NYKビルがフェーズⅡで最終的にチェックした人名は一万名といわれている。この中には私のように誓約はしたが、連絡のない半端人足は含まれているかいないかは知り得ないが、連絡のあった者だけとすれば大変な数である。

またラ氏はワシントンに於て米当局に対して、『ソ連代表部が使用していたソ連引揚者のスパイは約二百五十名である』と述べたといわれる。幻兵団や元駐ソ大使館グループ、または高

毛礼氏のように、さらにまた、東京外語大の石山正三氏のように在ソ経歴を持たなくとも、ラ氏にコネクションをつけられたものもいる。

そしてまた、コテリニコフ・ポポフ――高毛礼ラインの手先とみられる、銀座某ビヤホール経営者の白系露人のように、〝地下代表部員〟の間接的スパイもいる。

従ってソ連スパイ網に躍る人物は、本人が意識するとしないとに拘らず(例えば前記石山教授などは、志位元少佐がソ連兵学の研究のため、赤軍参謀本部関係の第二次大戦資料などを、ラ氏を通じて得ていたように、ソ連文献入手のため知らずにラ氏に利用されていたにすぎないといわれている)相当な数と種類とに上っていることは事実である。

だが、赤軍の線は捜査の手がそこまで伸びているのにまだ潜在化している。前記ビヤホールの白系露人などは、数年前から要注意人物としてマークされていながら、どの系統なのか全く分らず捜査が一頓坐していたもので、今度の高毛礼ケースから明らかになったものであった。

当局ではいまさらのように巧妙なその組織に驚いており、過去九年間における延数百名にも及ぶ在日ソ連代表部員の都内行動記録を再検討している。これは他の〝地下代表部員〟の摘発であると同時に、捜査は元在日総領事、中共軍政治顧問の経歴をもちながら「雇員」の資格だったシバエフ政治部大佐以下、「経済官」のポポフ同少佐、「運転手」のグリシーノフ同大尉

らの内務省系から、ザメンチョーフ赤軍少佐らの線へとのびていることである。