オカマにも三種類」タグアーカイブ

新宿慕情 p.010-011 新宿慕情・目次 事件記者と犯罪の間・目次

新宿慕情 p.010-011 新宿慕情 目次 事件記者と犯罪の間 目次
新宿慕情 p.010-011 新宿慕情 目次 事件記者と犯罪の間 目次

新宿慕情目次

はしがき
新宿慕情
洋食屋の美人
〝新宿女給〟の発生源
ロマンの原点二丁目
〝遊冶郎〟のエチケット
トップレス・ショー
要町通りかいわい
ブロイラー対〝箱娘〟
〝のれん〟の味
ふりの客相手に
誇り高きコック
味噌汁とお新香
新聞記者とコーヒー
お洒落と女と
おかまずしの盛況
大音楽家の〝交〟響曲
〝禁色〟のうた
えらばれた女が……
オカマにも三種類
狂い咲く〈性春〉
青春の日のダリア

事件記者と犯罪の間

その名は悪徳記者
特ダネこそいのち
権力への抵抗
根っからの社会部記者

新宿慕情 p.124-125 オカマにも三種類

新宿慕情 p.124-125 オカマの和ちゃんが、打ち明けてくれた、彼女たちの〝秘めたる行為〟とは…と、それを述べることにしよう。
新宿慕情 p.124-125 オカマの和ちゃんが、打ち明けてくれた、彼女たちの〝秘めたる行為〟とは…と、それを述べることにしよう。

だが、まだ当時は、オカマ人口が少なくて、〝えらばれた人たち〟だけが、オカマになれたのである。
そうであろう。まだ、赤線は盛大に営業しており、辻々にはパンパンがあふれていたのだ。つ

まり、女には不自由のない時代だったから、オカマが、営業してゆくためには、〝女〟と信じこませられなければ、商売にならなかったのである。

女性記者が、和ちゃんをホステスのひとり、と見ても、やむを得ない時代であった。

第一、警視総監が、オカマに殴られて金ピカの正帽を飛ばされたり、女だと思って買ったのに夜中になって、男だと知った少年が、ハラを立てて、刺し殺してしまったりといった事件がつづいていたころなのである。

サツまわりの私は、仕事の合い間を見ては、こんなオカマたちのアパートを訪ねたり、女暴力団の親分(男装に近い姿で、チャンと、可愛い十九歳ほどの愛人を持っていた)と仲良くなったりしていた。

和ちゃんとは、そんな〝付き合い〟で、私の〈社会部記者的好奇心〉に応えて、性倒錯者の行為についても、微に入り、細をうがって、話してくれた。

オカマにも三種類

気がもめる泊まり

オカマの和ちゃんが、打ち明けてくれた、彼女たちの〝秘めたる行為〟とは……と、それを述べることにしよう。

まず、オカマには、形態学的に三種類ある。第一は、カルーセル麻紀のように(ただし、私が確認したわけではない。巷間に伝えられるように……である)、〈行為可能者〉である。つまり突出部分を切削し、収納部分を新たに付加した連中だ。

第二は、突出部分の切除のみに終わっている者。さらに第三は、機能上、まったく〈男性〉である人たち。

オカマの和ちゃんの時代には、ただいまのように、〝整形〟医ばやりではなかったから、ほとんどの者が、この第三類に属していた。

だから彼らは、ノガミの夜に遊冶郎を求めていながらも、決して〝泊まりの客〟は取らない。いわゆる〝ショート〟ばかりである。

新宿慕情 p.126-127 お女郎サンやパンパンなんかはは女だから努力しないのよ

新宿慕情 p.126-127 酔客や、場馴れしていない客などは、ショートであれば、必ず〝満足〟させ、〝疑い〟ももたせずに帰す自信はある、と、和ちゃんは断言する。
新宿慕情 p.126-127 酔客や、場馴れしていない客などは、ショートであれば、必ず〝満足〟させ、〝疑い〟ももたせずに帰す自信はある、と、和ちゃんは断言する。

だから彼らは、ノガミの夜に遊冶郎を求めていながらも、決して〝泊まりの客〟は取らない。いわゆる〝ショート〟ばかりである。

「だってェ……」

和ちゃんは、シナを作っては甘えた声を出す。

可愛いい。

こういう〝彼女〟を見ていると、オカマだと知っていながらも、グッと抱きしめてやりたいような感じを、フト、触発されるからフシギだ。

「……泊まりは、スゴーク、疲れるのよ。お客が、寝返りを打つたびに、ハッとして、目を覚ますの……。だから、一晩中、まんじりともできないの」

「フーン。どうして?」

「だってェ。オトコって、スケベだもん。……夜中に、目を覚ましたりした時、すぐ、アタイたちの身体に、触りたがるじゃない? そしたら、一パツでバレちゃうじゃない」

つまり、姿と心とを、どんなに装っていようとも、〝現実〟は、男性なのである。造化の神におすがりしない限り、どうしようもないのである。

酔客や、場馴れしていない客などは、ショートであれば、必ず、〝満足〟させ、〝疑い〟ももたせずに帰す自信はある、と、和ちゃんは断言する。

「お女郎サンや、パンパンなんか(彼女は、前者にはサンをつけていたが、後者は、憎しみさえこめた呼び方をした。やはり競争相手だからであろうか)は女だから、サセりゃ良いってなもんで、努力しないのよ。

アタイたちは、それは、懸命なサービスをするのよ。だって女じゃないんだもン……」

つまり、前戯にすべてをかけて、客を〝出発進行〟の極限にまで、持っていってしまう。

そして、スマタ(素股)で放出させる。それは、極めて短い時間だから、相手に気付かせないそうだ。

掌に、コールドクリーム(ワセリンを使うのはヒドイ)をつけるから、緊縛自在である。

「で、客は放出して、落ち付くだろうが、キミたちは、どうするんだい?」

「客を取るオカマのほとんどが和服姿なの、気付くでショ? オカマは、決してハダカにならないの。スマタをやる時には着物を、襦袢や湯文字といっしょに、上にまくりあげて、〝自分のモノ〟をオナカに密着させそのフクラミを衣類のフクラミでゴマ化すのよ」

「ヘェ?」

「客がイクと、同時に、アタイたちもイクのよ。終わって、オコシ(湯文字)が、オナカに、ベタッと付いているのが、なんとも、たまらないの……」

客と同時に、オカマも放出する、というのであった。

だが、これは、決して〈男色〉ではない。相手が、対象を男性として意識していないからである。

しかし、ノガミには、彼女らを、男色の対象としてやってくる好事家もいた。そんな時には彼らは、天下晴れて、繚乱の菊花を散らすこともある、のだそうだ——。